心の悪魔と心の天使がバトルする時




駐車違反に罪の意識ありますか?

 事例6)「駐車違反で通過車両の妨げをしているのに、堂々とドアを開けて荷物を降ろす奴」についてです。様々な事例についてはこちらを確認してください。この連載をはじめて読まれる方は全編INDEXにどうぞ。

 駐車違反というのは、立場が変わると様々な言い分がありますけど、交通違反であることに違いはありません。またドライバーがステアリングを握っていない間の交通違反である点で、ドライバー個々の良識や警察当局の取り締まり方法など多くの問題を抱えています。
 レッカー移動で痛い思いをした経験から私は必ず駐車場を利用しますが、駐車場が満車であったり、最寄りに駐車場のない地域に行かなければならない事もあります。特殊な事情ですが、私のクルマの車高が低すぎてパーキングタワーなどには入れない事もあります。また、10分以内で所用が済む場合などはついつい・・・。
 そんな時仕方なく、駐車禁止場所に駐車することがあります。路上駐車が通行中の他のクルマや近隣の多くの方々に迷惑をかけることは承知していますから、迅速に所用を済ませてクルマに戻る努力をするのは当然のことですが、たとえ短時間であっても誰かに迷惑をかけていないか、駐車違反の取り締まりを受けないかと(免許証の減点はゼロですが)、気が気ではないですね。
 通行の妨げにならないか、駐車場の出入りを妨げていないか、歩行者の安全を脅かさないだろうか、郵便ポストはないか、消火栓はないか、などなど色々と気を配るものです。そうなると狭い路地よりも交通量が多くて、道路幅のある道路脇を選ぶ機会が増えます。歩行者のために歩道があって、道路幅があるので、比較的交通の妨げになりません。ただし「比較的」の個人差がとても大きいようですし、駐車違反に対する罪の意識も千差万別です。
 交通社会の中では歩行者が最も弱者ですから、ドライバーは歩行者には気を配らなければならないものです。自転車の場合には横暴な運転でクルマの通行を妨げる不届きものがいますが、それでもドライバーは自転車を保護しなければならないので、余程の事がない限り、諦めているというか、腹も立たないですね。ところが駐車違反はどうでしょう。すでに迷惑だけでは済まされない無神経にも書いていますが、その時のネタは比較的交通量の少ない場所での駐車違反でした。今回は比較的交通量のある広い道路での駐車違反です。



ドライバーか歩行者か

 よくある例で説明しましょう。片側3車線の市街地道路によくあるパターンです。最も路肩寄りの左側の1車線に駐車車両が点在するのは日常的ですね。1台でも駐車している車両がいると連鎖的に駐車車両が増えるものです。路肩より外側に歩道や自転車専用道路があれば、路肩いっぱいに駐車するのが基本的マナーであると思います。
 置きたい時はお互い様という暗黙の了解が存在するのは事実ですが、3車線が2車線に減るのですから、間違いなく渋滞を招くことになります。気の利く方、公共交通への認識が少しでもある方であれば、本当のぎりぎりまで路肩にクルマを寄せ、ドアミラーをたたみ他のクルマが通行し易いようにします。
 渋滞中の3車線道路では、いちばん左側の車線が速いのがセオリーですから、それを解っている方という事になります。では、全員がセオリー通りに一番左側車線を通行したらどうなるのでしょう? 当然セオリーは崩れます。でも実際にはセオリーは崩れないのです。「たられば」があるからです。もし大型車が止まってい「たら」、もし左側車線にレーンチェンジして障害物があった際に元の車線に戻れなかっ「たら」、別に急いでないからこのまま待ってい「れば」、といった具合です。では取りあえず先を急ぐとして一番左側の車線に入ってみましょう。
 最初は順調でしたが、すぐに駐車車両が行く手を阻んでいます。ドアミラーが寝かされており、運転席に人陰が見えないので、タイヤ1本分だけ右車線にはみ出しながら、ぎりぎりで駐車車両の脇をすり抜けました。同じ要領で数台をやり過ごし、コンビニの前に駐車しているクルマの脇をぎりぎりで抜けようと準備した瞬間、なんとコンビニ袋をぶら下げたにいちゃんが堂々と車道に出てきてドアを開けるではないですか。それもこちらを明らかに確認しながらです。
 クルマから降りていれば確かに歩行者ですが、クルマの扉に手をかけた瞬間にはドライバーです。仕方なくブレーキをかけて右側車線を走るクルマに迷惑をかけ、無理矢理割り込みをこころみます。失敗すれば、コンビニ袋のにいちゃんの前で緊急停止して、にいちゃんがクルマの中に収まるのを待ちます。
 心の中の鬼が語りかけて来ます。「そのにいちゃん跳ね飛ばしたれ」。ドライバーが歩行者の特権を行使するのは反則です。心の中の天使が「バカを相手に怒っても仕方ないやろ」と慰めてくれて、再び先を急ぎます。
 なんと停車中のクルマ(右ハンドル車)のドライバーと楽しく会話をしているね〜ちゃんがいます。これまた予定が狂って、割り込みか急停止を強いられます。心の中の悪魔が語りかけてきます。「かわいいね〜ちゃんなら許してやれ、そうでなかった場合には豪快に跳ね飛ばせ!」やっぱり最終的には天使の勝ち・・・。
 こんな事なら大人しく別の車線を走れと言われそうですが、私は今日も左側車線を走ります。この例のように善良歩行者を装おうアウトローは目視できますが、いきなりドアが開いたら大変です。私は必ずドアミラーと車内の人陰を確認します。遮光フィルムで車内の人陰を確認できない場合は無理をしないで、割り込みにならない範囲で車線変更するか、徐行するようにします。


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