死角があるから資格がない




裏道走ってますか?

『事例7)歩行者の多い裏道を飛ばして、意地でも幹線道路よりも目的地に早く着こうする奴』についてです。様々な事例についてはこちらを確認してください。この連載をはじめて読まれる方は全編INDEXにどうぞ。

 気持ちは良く判りますね。急いでいる時に行く手を渋滞に阻まれると、思わず裏道を飛ばしたくなるものです。東京23区内に生息する筆者も裏道はとても好きで、渋滞の中をおとなしく待っているくらいなら時間を余計に要しても新たな道を探そうと好奇心が湧くのです。
 私の事務所から環状7号線(都内にある環状幹線道路で、交差する幹線道路は環状7号線を先頭に慢性的な渋滞を引き起こします)に出るまで必ず通る裏道があります。比較的メジャーな裏道なのですが、渋滞することは100%ありません。
 週に1回以上は通る道なので慣れているためかもしれませんが、幹線道路から環状7号線に出るよりも10分くらい早いのです。裏道ですからセンターラインは1ケ所もなく、通学路に指定されていて進入禁止の時間があったり、商店街の歩行者道路に出くわしたりするのですが、その都度迂回するルートの開拓も完璧なので大丈夫。決してスピードを出すのではなく、速いところで40km/h、場所によっては30km/h未満ですけど、環状7号線に到達するのは早いのです。
 たまたま朝の通勤・通学の時間帯に通ると、自転車や歩行者が至るところから出てくるので40km/h出す事も稀になり、後続車にアオられてしまうのは困りものです。そんな時間帯には幹線道路の渋滞もスゴいので、裏道の方が10分以上は早いのですが。朝は時間を逆算して動く方が多いですから、ついつい遅刻しないようアセってしまうのでしょう。



カーブミラーと気配が全て

 さて裏道といえば生活道路を通ることが多いですね。事務所から半径5km以内は自転車で移動する筆者にとって裏道は重要なルートです。幹線道路には歩道がありますが、とても安定したペースでは走れません。歩行者が2人以上並んで歩いていたり、散歩中の犬を連れた人に出会ったらアウトです。
 クルマの交通量が少なく、歩行者を余裕でかわせる裏道は自転車にとっては幹線道路です。細かな路地や交差点が多いですから、自転車も注意して徐行しなければいけないのですが、スピードを落とすと再び加速するのがシンドイですから、ついついノンストップで通過してしまいます。まずは運の尽きは交通事故遭遇の時を思い出して下さい。
 そうです。恐ろしい偶然が潜んでいるのが裏道なのです。どんなに通い慣れた道でも油断は出来ません。皆さんはカーブミラーを活用していますか? 止まれの標識のある交差点や、どちらが優先か不明な道路の交わる交差点を除くと、意外とノーケアのまま進んでしまうドライバーや自転車(歩行者)が多いように思います。カーブミラーの意味すら理解していない子供やオバさんの実態を知っている私としては、そんな方々が多く生息する裏道では絶対に気を抜きません。
 明らかな優先道路で意識的な徐行が不要と思われる場所でもカーブミラーは全てチェックしながら進みます。クルマや歩行者が確認できたら即座に停止できるスピードまで落とします。元々30km/hくらいで走っていますから、すぐに20km/h未満になります。万一衝突してしまっても重傷事故や死亡事故は避けられます。また普段から意識して運転していると不思議と気配を感じるようになります。
 私がはじめて気配に気付いたのは21歳の時でした。田舎の山岳路を彼女とドライブしていたら、対向車線を勢いよく3台の自転車が下っていきました。前方には左コーナーが迫ってきました。その手前で私はハッとして急停止しました。助手席の彼女はビックリです。その瞬間、私のクルマに自転車が突っ込んで来ました。
 先に行った3台を追う子供の自転車です。急いでいたのでコーナーイン側、つまり私のクルマの正面を走ってきた訳です。冷静に考えれば簡単に分析できる事ですが、瞬間的に停止したのは気配以外の何でもありません。もし気配を感じなければ、その子供は即死していたかもしれません。不幸中の幸いで、その子は少し痛い擦り傷で済みました。もしそこにカーブミラーがあれば気配を感じなくても事故回避は可能です。裏道を飛ばして時間短縮を図ろうとする人の運転は完全に運天(衝突しないよう運を天に任せる)です。せめてカーブミラーだけは、全てチェックしながら進んでください。もちろん飛ばしてなくても、交通事故を避けたければチェックは怠れません。まったく余裕がないのなら、幹線道路以外ではクルマを運転するべきではありませんね。


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